クリスマスだから

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クリスマスは毎年、オン・ブロードウエイのミュージカル鑑賞に行く。連れて行かれる。

ここ5〜6年ほど。そう決まっている(らしい)。

特にミュージカルが(映画ほど)好きではないのだけれど、仕事がら(と妻の趣味という事もあり)年間でかなりのショーを観に行っている。日本にいるミュージカルマニアの方に言わせると自慢話に聞こえると思うが、クリスマスに限っては毎年、半分嫌々だ。本当だ。

なにが嫌かって、TKTS(チケッツ)に並ぶ事だ。

TKTSとは、一度でも観光でこの街に来た人ならみんな知ってるタイムズスクエアのど真ん中に建っている半額チケットを取り扱うオフィス。残った当日券のみを25%から最大50%オフで売っている。いつも長蛇の列だが、観光シーズンでもあるクリスマスは、平気で1~2時間並ばされる。この日気温は0度。体感温度それ以下。窓口の要領の悪さがさらに長時間になる要因だと僕はにらんでいる。渋谷のマックの定員ならその半分の時間でさばいちゃうと思う。(特に2年前まではカードを受け付けずキャッシュのみだったというから驚きだ)

それでも2人で$150近く浮くのなら、僕たち庶民は並ぶ。“$150くらいいいよ、並ばなくても”な身分では決してない。

ただ、足がかじかんで手先の感覚が手袋越しでも無くなってくるとついつい「$150くらいいいよ、並ばなくても」と言いそうになってしまう。でも、どんなに寒くても妻は並ぶ事を譲らない。主婦の金銭感覚というより、並んでいる間に残ってるチケットをあれやこれや想像するのが楽しいと見える。舞台好きな人間だけの時間の潰し方なのだと思う。僕には罰ゲームだ。

結局、彼女は第一希望の「American Idiot」のチケットを50%でげっとしてきた。

待ち時間実に2時間。体感温度アラスカの中。2時間の上映作品のチケットを2時間以上待つ感覚はあほそのものだ。

「裸のオッサン同士のケンカの為にべガスに0泊2日の強行で行く人に言われたくない」と反論してきたのでUFC という格闘技は裸のオッサン同士のケンカでは断じてないと、コンコンと説明してやった。体感温度ほっきょくの中。

「American Idiot」 は全編、Green Dayの曲を使っている。先日フットボール場で観た、グラミーでベストロックアルバム賞を取ったバンド(らしい)。よく知らないのだけれど。(9月13日参照)

ブロードウエイミュージカルはその規模を指してオンからオフ、オフオフ、そしてオフオフオフまである。順に小さくなっていく。“通”な方にいわせるとスポンサーの意向に左右されないオフが実は一番面白いとか、そのアンダーグラウンド感からオフオフが実は一番面白いという人もいるが、素人の僕から言わせるとやはりダントツでオン・ブロードウエイが理屈抜きで一番面白い。“通”でなくて悪ござんしたね、だ。

繊細さとダイナミックさを兼ね備えた舞台芸術はアジアでもヨーロッパでもないこの大陸ならではのアートだと思う。(実はこれ受け売り)

取材でよく行く、前衛的で「もう、わかる人さえわかってもらえばいい」感丸出しの、アートがアートすぎてよくわかんないオフオフオフとかの作品を見せられるのはもう、まっぴらだ。それを、その場にいる観客みんなが、俺にはこの世界わかる、と裸の王様状態になっているのを見るのも、まっぴらだ。

特にクリスマスは。